乳酸菌の基礎知識

乳酸菌とは?

乳酸菌とは炭水化物などの糖をエサにして乳酸を作り出す細菌の総称です。

 

人の腸内には乳酸菌以外にも数100種類の細菌が存在し、腸内全体の細菌の数は百兆個あるといわれています。

体内に存在する菌は大きく分けて善玉菌悪玉菌日和見(ひよりみきん)の3種類に分類分けされます。

 

乳酸菌のような有益な腸内細菌は善玉菌大腸菌などの体に悪影響をおよぼすものを悪玉菌、良いとも悪いとも言えない中間なものを日和見といわれ、それらの体内での割合は通常で、善玉菌が2、悪玉菌が1、日和見菌は7となっています。

 

乳酸も酢酸も少し酸味があります。

乳酸菌を含む食品は乳酸によって酸性となるため、腐敗菌や病原菌が増えるのを防ぎます。ヨーグルトが牛乳と異なり日持ちするのはこのためです。

 

腸内に生存する菌

善玉菌

乳酸菌(乳酸桿菌、乳酸球菌)

ビフィズス菌

 

悪玉菌

大腸菌

ほとんどは無害ですが、強い毒性を持つものがある。腹痛や下痢などの症状を起こすことがありOー111やOー157はこのような強い毒性があるため注意が必要です。

 

ブドウ球菌

人や動物の皮膚や消化器官に常在しており、通常は無害です。皮膚の切り傷などを不潔なままにすると化のうしたりします。また食品中でエンテロトキシンという毒素を放出し、これが増殖したものを食べると中毒を起こします。

 

ブドウ球菌自体は熱に弱いですが、エンテロトキシンは耐熱があり、100℃に加熱しても分解されません。

 

ウェルシュ菌

人や動物の腸管、土や水中など自然界にも広く存在する菌で、酸素を嫌う菌です。健康な人や家畜の便からも検出されます。

 

ウェルシュ菌芽胞菌の一つでもあり、菌のうちの一部が芽胞という殻のようなものを作ります。芽胞は非常に熱に強い性質をもち、大量に作るカレーや煮物などの酸素がない状態が原因となりやすく、室温にもどすと急激に増殖します。

 

乳酸菌により期待できる効果

整腸作用

乳酸菌は乳酸を作りだすことで腸内を酸性になり、酸性を苦手とする悪玉菌を減らしてくれます

 

そして酸性となることで腸の働きが活発になり、消化吸収やぜん動運動を助け、便秘解消につながります。

 

肌荒れ解消

腸の中に存在する悪玉菌の発生させる有害物質が腸内環境を悪化させると、有害物質が全身へ巡り、肌荒れや身体の不調など引き起こすことが知られています。

腸内の環境は全身に悪影響を与えるため、常に良い状態を保つことが大切です。

 

免疫力アップ

乳酸菌は腸内の細胞を刺激して免疫力を上げる効果を持ちます。また花粉症などのアレルギーは免疫機能の異常によって引き起こされるため、乳酸菌により免疫機能が正常に働くことで花粉症などのアレルギー症状をやわらげる効果もあります。

 

ビフィズス菌は乳酸菌の1つ?

ビフィズス菌は腸内に生息し乳酸を作るため、乳酸菌の1種とされることが多いが実際は別物です。

乳酸菌と違う点は、ビフィズス菌は乳酸だけでなく酢酸も多く作り出します

この酢酸が大腸で大腸菌O-157の吸収を抑制することで話題となっています。 

ちなみに食事で酢酸を多く含む酢をとっても胃や小腸で吸収されてしまうため、大腸までは届きません。

  

そしてビフィズス菌は酸素があると生息できない菌(偏性嫌気性菌)のため、酸素があってもなくても生息できる菌(通性嫌気性菌)の乳酸菌とは異なります。 

ビフィズス菌を生かした状態で人が食べられるように製法や容器などにいろいろな工夫が必要になります。

ちなみに酸素がないと生息できない菌は好気性菌といい、緑膿菌などがあります。

 

ビフィズス菌は腸内に1~10兆いるとされていますが、乳酸菌は10億~100億くらいで、ビフィズス菌は乳酸菌の1000倍くらい多く存在します。

 

乳酸菌の分類

乳酸菌などの細菌はその種類を表すために、属・種・株という分類がされます。属がもっとも大きな分類でそこから更に枝分かれして種、更に株と個々の名称に分かれていきます。

また乳酸菌の形や特性によって分類することもできます。

 

形状による違い

形状によって3種類に分けられ、棒状の桿菌(かんきん)、球状の球菌、らせん状のらせん菌があります。

また別の呼び方としては、桿菌をバチルス、球菌をコッカス、らせん菌をビブリオと呼ぶ。

 

作り出すものによる違い

乳酸のみを作り出す乳酸菌をホモ乳酸菌

乳酸以外のものを作り出す乳酸菌をヘテロ乳酸菌

 

由来による違い

植物性乳酸菌

植物に存在する乳酸菌でブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖などの多糖類を分解してくれる。酸やアルカリ、温度変化、胃酸にも強く、生きたまま腸までたどりつく。

 

動物性乳酸菌

主に乳製品に含まれ乳糖を分解する。過酷な条件では死滅してしまい、ほとんど腸に届く前に胃酸や胆汁により死滅してしまう。

 

乳酸菌は生きたまま腸に届かないと意味がない?

よく乳酸菌飲料の宣伝文句で「生きたまま腸に届く」などと言われることがあります。

 

乳酸菌は生きたまま腸に届けば腸内で、乳酸菌であれば主に乳酸、ビフィズス菌であれば乳酸と酢酸を作り出し、腸内を酸性にして腸の運動を高めて便秘を解消し、悪い菌を抑えることができます。

 

では死んでしまったら全く意味がないかというと、そうではありません。

死んだ菌でも腸でほかの善玉の餌になることで腸内環境をよくしたり、死んだ菌が腸の細胞を刺激し免疫力を上げる効果もあるため、死滅してしまうから意味がないということではありません。

 

乳酸菌をとるタイミング

できれば食後

食後は胃酸の分泌が下がっているため、乳酸菌をできるだけ生きたまま腸に届けるために食後にとるとよいでしょう。

ただ、死んでしまっても効果がなくなってしまうわけではないため、食後以外にもバランスよくとることをおすすめします。